土木工学科3年生の授業「維持管理工学」において,日本を代表する土木分野の研究所の一つである施工技術総合研究所(静岡県富士市)で,調査実習を行い,その報告会を開催しました。
調査の内容は以下の通りです。
①打音試験・サーモグラフィ試験によるコンクリートの浮き検知
打音試験によるコンクリート梁の浮き探索とは?
打音試験は、コンクリート構造物の内部欠陥(浮き・剥離・空洞など)を音の違いで検出する非破壊検査手法です。特に梁のような構造部材では、表面からは見えない浮きの早期発見に有効です。
サーモグラフィ法によるコンクリート梁の浮き探索とは?
サーモグラフィ法は、赤外線カメラで表面温度分布を可視化し、コンクリート内部の浮きや剥離を非接触・非破壊で検出する手法です。特に梁のような高所・広範囲の構造物に対して、足場不要で遠隔から調査可能な点が大きな利点です。

②超音波試験による鋼材の亀裂探査
超音波試験による鋼材の亀裂探査とは?
超音波試験(UT: Ultrasonic Testing)は、鋼材内部の亀裂・空洞・未溶着などの欠陥を非破壊で検出する技術です。高周波の音波を鋼材に入射し、反射波の挙動から内部状態を解析します。


③3次元計測による土量の推定
3次元計測による土量推定とは?
3次元計測を活用した土量推定は、従来の断面法や平均断面法に比べて、高精度かつ迅速に土工量(盛土・切土)を算出できる技術です。点群データや3Dモデルを用いて、施工前後の地形差分から体積を求めます。
報告会の開催
2025年7月28日に上記の調査結果に基づいた報告会を開催しました。
施工技術総合研究所および建設会社の技術者,セブからのエンジニアに評価に加わっていただき,維持管理工学の授業の締めにふさわしい報告会となりました。

維持管理工学の授業では,近年社会問題化している土木構造物の老朽化,およびその維持管理方法について,実体験を交えながら学んでいく授業です。
対象としては、土木構造で、風雨などの外環境、荷重、あるいは突発的な災害などにより大きな負荷が作用するコンクリートおよび鋼を用いた構造物です。
授業では,維持管理についての考え方、調査・評価方法、対策方法について学習とともに,そのとき、生じる損傷の理論的理解のため、腐食や疲労などについての金属工学分野の関連知識も学習範囲に学びます。また、長期管理について重要な要素である、コストに関する基本的な考え方についても解説を行っています。さらに、これからの社会基盤整備や管理で関わりを常に念頭に置かなければならない環境問題や、SDGs等の新しい価値観についても紹介を行っています。
詳しい内容を知りたい方は是非お問い合わせください。
