Faculty

教員紹介

教授

松本健作

MATSUMOTO KENSAKU

住民「ひとりひとり」の行動に注目する「マルチエージェントシミュレーション」の解析例

 水害発生時の避難行動を「ひとりひとり」に注目して分析し,最適な避難行動はどうあるべきかについて検討します.
 「ハザードマップがあることは知っているけど,自分にとってはどういうことを意味しているのかわからない。」そう思ったことはありませんか?災害に関する情報は色々と増えたけど,いまいち自分自身に有益な情報として活用できていない.これは実は私達全員が同じ様に感じていることで,「我が事化」というキーワードで現在盛んに検討されている重要な検討課題です.当研究室ではこの災害情報の「我が事化」研究の一つとして,住民「ひとりひとり」を対象とした発災時避難行動について研究しています.

 水害避難を疑似体験できるゲームを開発しています.
 現在我々は、水害対策において絶対的な「正解」を見いだせていません。これは、様々な状況が発生する水害発生時において、最善の避難行動が状況次第で多種多様に変化するからです.それこそ,少し前のタイミングであれば最善であった行動が,その数分後の今となっては最悪の行動となってしまう可可能性すらあります.このような様々な水害発生時の状況を、一般住民が気軽に体験でき、そこから最適な避難行動についての「気づき」を得てもらうのが本研究の狙いです.開発したゲームは、実際に一般住民や行政機関・専門家などの様々な立場の方々の体験を通してその意見を取り入れつつ,一緒に完成を目指しています.
 ゲーム開発である一方で、体験者から意見を聴取し,人の気持ちを適切な避難行動へと結びつけるために考察するという意味では「人間工学」・「心理学」的要素を含みます.様々な分野の専門家と連携し、水害被害者ゼロを目指します.

水害避難体験ゲーム#1 Unityを用いたゲームシステム例

水害避難体験ゲーム#2 Unreal Engineを用いたゲームシステム例

左図:MTL(多点温度検層)による地下の流動層を探査結果例,右上図:熟練技術者の識別した流動性地下水の局所的な「水ミチ」を開発したAIにより探査可能か検証した結果.右下図:FDV(単孔式加熱型流向き・流速計による流動性地下水の流向・流速の探査原理図

 地下水は,大事な水資源であり,且つ様々な災害を引き起こす要因ともなるものです.地下水がどのように存在しているかを把握することは非常に難しい課題であり,その検知のための探査装置を企業や他大学との共同研究により開発しています.治水上の喫緊の課題である河川堤防の浸透性破堤に対する安全性の診断においても,河川堤防周辺に存在する伏流水の存在状態及びその出水時動態が密接に関連していると考えられています.また,熟練技術者の診断技術をDeep Learningを用いてAI化することで技能継承する取り組みについても検討中です.これらの探査技術の中心は自然地下水調査法と呼ばれ,「ありのままの地下水の存在状態を調査する」ことを目的として竹内篤雄先生によって開発された探査技術を中心に使用しています.

 河川周辺は水資源に恵まれているため緑が繁茂し易く,人為的影響を比較的受け難い空間です.そのため,様々な生物が生息し易く,豊かな生態系が維持されている河川が多くあります.また,適切に管理された水辺空間は私達の暮らしにとっても無くてはならない憩いの場となっています.安全・安心な生活環境であると共に,生態系とのバランスのとれた”まちづくり”を考えることも重要な課題と考えられています.

河川伏流水に生息する地下水生生物の観測例(画像クリックで動画視聴可能です.珍しいですよ.)

2024年度水理研究室メンバー(遠藤君,大隅君,笠井君)

住民視点での水害避難体験シミュレータの開発
安価・簡便且つ高精度な堤防天端高取得システムの開発と迅速な氾濫解析への応用
SRMとNays2DFloodを用いた大井川水系伊太谷川の降雨による水位応答性検証に基づく水害リスク評価
高速伏流水を対象とした孔内水平流速の観測システム開発
河川ECの縦断変動特性に着目した新たな河川環境評価の提案
浸透流と非圧縮性流れの統一解析を用いた地下水観測孔ストレーナが流況に及ぼす影響評価
令和元年東日本台風による佐野地区水害における破堤部上流域の被災特性に関する考察
画像解析を用いた孔内鉛直流の定量化とその実用性検証
地下水観測孔内に流出する細砂の出水時応答特性
河川伏流水の電気伝導度振動の解明
河川近傍に設置された地下水観測孔内に流出する細砂に関する考察
流動地下水を推定するDeep Learningモデル開発
河道掘削による地下水低下影響範囲におよぼす止水壁の効果に関する数値解析
堤防周辺地盤の透水性変動に伴う観測孔水位の出水時応答特性に関する研究
RRIを用いた流域スケール大規模水害を対象とした降雨・流出および氾濫過程の考察
高速地下水流観測装置の開発と3次元流向流速評価
DO消費量に着目したNipponasellus hubrichtiの生息場に関する考察
パッカーを用いた現地観測による電気伝導度振動の成因に関する考察
堤防基盤漏水モニタリングシステム構築に向けた観測孔の感度検証
局所的な伏流水電気伝導度振動の発生要因に関する考察
Nipponasellus hubrichtiの生息状態に関する考察
地下水の流向・流速観測システムの開発と出水時応答特性の解明
平成25年伊豆大島豪雨災害を対象とした泥流型土石流の堆積機構に関する研究
伏流水の流向・流速観測システムの開発および現地適用性の検討
平成27年9月関東・東北豪雨による黒川奈佐原地区水害の越流性破堤プロセスの数値解析
観測孔を用いた桐生川近傍における伏流水モニタリングに関する研究
電気伝導度を用いた河川近傍における伏流水動態の解明
アジア地域における日本の井戸支援事業の検証と日本の地下水把握技術の効果的活用に関する考察
高速流動する伏流水を対象とした流向測定の試みとその変動特性に関する研究
堤防至近部における孔内水位の出水時応答に関する考察
桐生川伏流水に生息する地下水生甲殻類に関する研究
平成27年9月関東・東北豪雨による黒川奈佐原地区水害の実態調査と数値解析による検討
高濃度土砂流の流動-再停止課程における内部特性に関する研究
地下水流速の直接観測による沖積砂礫層における伏流水の実態調査
地下水観測孔内水位の降水・揚水に対する応答性に関する研究
土砂の侵食・堆積過程を組み込んだ土石流解析に関する研究
平成25年伊豆大島土砂災害における豪雨の影響と水害リスクの検証
河川伏流水の電気伝導度の鉛直分布構造と降雨応答性に関する研究
企業連携による地域水防の方策に関する研究
河川堤防近傍における流動地下水場の特性に関する研究
河道と氾濫原を包括的に取り扱う統合型氾濫解析に関する研究
河川堤防の浸透性破壊に関する実験的研究
多点温度検層におけるボーリング孔内の熱伝導特性に関する実験的研究
流動地下水の非定常変動特性に関する実態調査
氾濫原での地形変化を考慮した洪水氾濫流の挙動に関する研究
扇状地地形における氾濫流管理に関する研究
扇状地閉鎖性氾濫原における水害リスクとその回避に関する研究
流動地下水存在場における地温の数値解析的検討
流動地下水存在場におけるボーリング孔内の熱伝導特性に関する研究
河川堤防の越流破壊過程におけるモグラ孔の影響に関する実験的研究
非ニュートン流体モデルを用いた高濃度土砂流動現象のパラメタ―特性における研究
アンダーパスの存在に起因する洪水氾濫リスクに関する研究
河道を含めた扇状地氾濫原の統合型氾濫解析に関する研究
高濃度土砂流動の 3 次元数値シミュレーションに関する研究
水柱崩壊場における高濃度土砂の非 Newton 流動特性に関する研究
大規模災害発生時のボランティア活動の実態に関する考察
渡良瀬川の河川堤防基盤漏水特性の現場検証
破堤位置の変化に伴う氾濫流量特性に関する実験的研究
自然電位法による流動地下水の実測とその有効性の検証に関する研究
大型斜面崩壊実験場における流動地下水探査結果と土中水分状態の相関
VOF scheme を用いた Navier-Stokes 方程式に基づく Bingham 流体解析に関する研究
土砂の洗掘・堆積過程を考慮した洪水氾濫解析に関する研究
内水・外水の複合氾濫による氾濫流の挙動に関する研究
1m 深地温探査による河川堤防基盤漏水の特性検証
防災モニタリングとしての河川堤防内の浸透水の実測に関する研究
流域総合管理ツールとしてのGISの機能拡張に関する研究
加速度の信号処理による斜面崩壊場の土砂挙動に関する研究
加速度波形の信号解析を用いた斜面崩壊早期予測に関する研究
斜面崩壊場における落錘パルスの伝播特性に関する基礎的研究
加速度センサを用いた斜面崩壊警報装置開発に関する研究
wavelet 解析を用いた斜面崩壊場における微弱兆候の検出に関する研究
流域総合管理に向けた外部解析ツールとしての河川網計算に関する研究
ArcObjectsを用いたGISの機能拡張に関する研究
加速度センサーによる土砂崩壊の微弱兆候検出に関する研究
清水班と合同で洪水氾濫解析project
河床材料の粒度調査の為の高密度面データを用いた粒度判定アルゴリズムの開発
群馬県におけるミクロスケール気象現象の3次元数値シミュレーション
時系列振動解析を用いた出水時河道内状態推定システムの開発
アーマー層を有する橋脚周りの局所洗掘特性に関する研究
出水時における橋梁振動の時系列モデルパラメータ特性に関する研究
河道内地形の3DLS測定結果における受光強度特性に関する研究
MPS法を用いた3次元水路モデルの構築
3Dレーザスキャナーによる河道内地形測定に関する研究
時系列振動解析を用いた出水時における河道状況推定に関する研究
鬼怒川下流部における局所洗堀に関する研究
鬼怒川における河床変動の実態の把握と実測および計算手法に関する研究
群馬県の地形性降雨の3次元数値シミュレーション
MPS法による3次元水路の数値シミュレーション
MPS法を用いた固液混相流の数値解析に関する基礎的研究
MPS法の大規模3次元解析への適用に関する研究
大気環境の数値シミュレーション
MPS法による混相流の数値解析
MPS法による揺動体を伴う流れ場の数値解析に関する基礎的研究
揺動体を伴う流れ場の特性に関する実験的研究
流木災害の防止・軽減に関する研究
MPS法を用いた流体の数値解析に関する研究

略歴
  • 1998年 熊本大学大学院自然科学研究科博士(後期)過程単位取得退学
  • 1998年 群馬大学工学部助手(建設工学科)
  • 2005年 群馬大学大学院助教(社会環境デザイン工学専攻)
  • 2021年 静岡理工科大学土木工学科設置準備室教授
  • 2022年 現職